2050年カーボンニュートラルの実現に向けた、歴史的な挑戦がいま、本格的に動き始めています。
福岡県古賀市では、令和3年11月に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、温室効果ガス排出量の実質ゼロ、いわゆるカーボンニュートラルの達成をめざして取り組んでいます。地球温暖化がもたらす気候変動は、台風や集中豪雨、猛暑、干ばつ、海面上昇などの形で私たちの生活に重大な影響を及ぼしつつあります。いまこそ、地域として未来へ責任ある行動を選び、将来世代に持続可能なまちを手渡していくべき時です。
このような認識のもと、本市では令和6年度から今後10年間の施策や取組の基本的な方向を示す「第3次古賀市環境基本計画」および「第2次古賀市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づき、脱炭素社会の実現に向けて取り組みを推進しているところです。これらの計画では、温室効果ガスの排出実態を精査した上で、削減目標を定め、2050年カーボンニュートラルの達成をめざし再生可能エネルギー等のエネルギーへの転換、省エネルギー対策、気候変動適応策など、総合的な対策を講じていきます。
しかし、脱炭素の取組は行政だけで推進できるものではありません。民生、産業、運輸、廃棄物など、社会のあらゆる部門からの排出を削減していくには、市内の企業の皆さまの積極的なご協力が欠かせません。
こうした背景から本市は、新たに産業・経済分野における脱炭素化を支援する仕組みとして、令和6年度に環境省のモデル事業の採択を受け、本市のまちづくりの理念に掲げる「公民連携」による「古賀市脱炭素経営支援プラットフォーム」を構築いたしました。
このプラットフォームは、市内で事業を営む企業や支援機関の皆さまと行政が連携し、脱炭素経営に関する情報提供、相談対応、セミナーの開催、マッチング支援、さらには脱炭素に関する地域課題を解決する連携事業の創出などを目的とした交流・支援の場です。特に、初めて脱炭素経営に取り組む企業の方々にとって、第一歩を踏み出すための伴走支援ができるよう心がけて運営してまいります。
また、本市には自然・歴史・産業が調和した豊かな地域資源があります。九州自動車道や国道3号線といった交通環境、医療・福祉・教育の連携が進む生活基盤、地域に根差した企業の皆さまがそれぞれの立場で地域経済と雇用を支えています。
こうした多様な企業の力が結集し、脱炭素への取り組みを進めていくことは、地域の価値をさらに高める大きな原動力となります。消費者の環境意識の高まりや、サプライチェーン全体における脱炭素化への要請、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大など、社会全体が大きく変わる中で、環境に配慮した経営は新たな競争力の源泉です。ぜひ企業の皆さまには、環境への取組をビジネスチャンス、経営戦略の一環として積極的に位置づけていただきたいと願っております。
今後、プラットフォームでは、相談対応等のみならず地域企業間の連携事業の提案など、発展的な活動を推進してまいります。最新情報はこのホームページに随時掲載いたしますので、ぜひ継続してご覧いただき、積極的にご活用ください。そして何よりも、企業と行政が対等なパートナーとして共通の目標に向かって歩みを進めていく、このプラットフォームに参画された皆さまの声こそが、今後の本市の脱炭素施策の実効性を高める礎となります。
結びに、カーボンニュートラルの実現と経済成長を同時にめざすGXは、まさに世代を超えた挑戦であり、その起点は確実に地域にあります。本プラットフォームが本市の企業の皆さまにとって有益で実践的なものとなるよう、そして古賀市全体として環境・経済・暮らしの好循環を生み出し、脱炭素社会実現に向けた地域の未来の一助となるよう、市としても全力で取り組んでまいります。ぜひ多くの企業、団体の皆さまにご登録いただき、それぞれの立場で力を発揮していただければと願っています。
今後とも、皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年7月
古賀市長 田辺 一城